新しい肉の体温

先日、橋本平八と北園克衛展を見に世田谷美術館へ行きました。ぼくは例え話にしばしば彫刻家を登場させるほどその職業に興味を持っているのですが、今回橋本平八の作品を見てやっぱり噛めば噛むほど味の出るスルメで、みれば見るほど溜息をつき驚かされるのでした。人物像などは肉体の曲線があまりに繊細に掘り出されているので、肉の体温を錯覚しその中に隠された骨まで想像することが出来るようでした。特に素晴らしいと思ったのは石の形からヒントを得て作られた「牛」という作品でした。連れて帰りたくなるような蛙の彫刻はきっと春の陽気にうとうとしてしまった幸せな蛙でした。北園克衛は写真というメディアや造形物を「詩」として見立て、扱った詩人です。彼は沢山の本のデザインや装丁を残していて、そのどれもが緻密に計算されたものだとわかります。なんて冴えているのだろう!ガタリのジャケットを依頼出来たらどんなに良かったかと思いながら眺めました。

今、引越しの準備をし始めていますが新しい環境にいくと新しい物を少し買い揃えたくなります。随分前にインテリア屋さんで見つけたドナ・ウィルソンの雲のクッションが今いちばん欲しいものです。