綿菓子

面倒臭い日もあるけれど、出掛けて15分もすれば気持ちが変わります。左側に大きな、綿菓子のように柔らかい耳がパタパタと揺れるからなのです!吹雪の夜、初めて歩く雪の感触が気に入ったのか、いつまでもぴょんぴょん跳ねるので、帰る頃にはぼくはどっぷり疲れたけれど、それでも犬のいる生活はやっぱり夢のようです。

カンフー

目覚めてまだ間に合う!と気付いた時には食パンをくわえて身支度に取り掛かっていました。15分で駅のホームに辿り着き、電車を1本逃したもののギリギリセーフで道場に到着。息切れと興奮のどちらとも判断出来ない浮いた体で階段を上ると、左の障子の間から白い光が見えたので、反射的にそちらを向くと彼がいたのでした。
朝の冷たい光に溶け込むように見えたのは彼の稽古着が白かったからでは勿論なく、彼はとてもいい何かを持っているからだと感じました。それは多分嫉妬すら出来ない程いいものです。それでいて多大な忍耐と努力は必要だけれど欲し続ければ必ず得られるのだ、自分次第なんだという妙な安心感を含んだ面白いものでした。

・・・そんなわけで音楽家であり、武道家のフランソワ・デュ・ボワさんとの出会いはとてもドラマチックなもので、もう今日一日は何があってもへっちゃらだ!などと思っていたのです。しかし気持ちは弾むも、不意打ちにあった(というのも、多忙な彼の代わりに別の先生がいると思っていたので)ことにひるみ、早速足の指が攣り、ふと足下に目をやると靴下に大きな穴が開いていました。緊張度が限界に達したぼくにデュ・ボワ先生は緊張をほぐそうと話しかけて下さいましたが、足元が気になってぼくはちっとも集中できず、悔しい思いをするのでした。

慶春

大晦日の夕方、スーパー正面の酒屋に集合との連絡を受け、ぼくは犬のバチャを連れて、文字通り急ぎ足で駆けつけました。諸々を買い込み自宅へ戻ります。お土産に頂いたスモークサーモンの美味しいこと。年越しそばまでまだ時間があったのでみんなでUNO。やっぱりカードゲームはいいねぇなどと言いながら最近スピードというゲームをやって何度やっても同点になる話をする。え、あり得ないよ、じゃ、ちょっとやってみて。というわけで、カードを分けて、ゲームが始まりました。開始早々、いや、それは駄目でしょっと突っ込みが頭上に刺さる。山積みされたカードの数字と同じ数字を置くことができるルールだと同点になってしまいます。除夜の鐘と共にそばをすすり新年を迎えました。


そして次の日は、合同のお誕生日会がありました。美味しい黒毛和牛のしゃぶしゃぶとお酒をたっぷり頂く。肉が口の中で溶ける!苺に囲まれた生クリームのヨークシャテリア・ミニケーキは最後のお楽しみです。カラフルな蝋燭を立てて部屋を暗くしたらピアノが聞こえてきました。お誕生日がふたり居るから歌もちゃんと二度歌います。大のおとな達が照れながら歌うハッピーバースデイ合唱だ。思い出すと本当に可愛くて、胸に仕舞うとその恥ずかしい気持ちと嬉しい気持ちでとんでもない贈り物を貰えたことに気が付きました。そしてその頃、犬のバチャも友人宅玄関でストーブ付き、という高待遇を受け、硬くなった肉球を暖めながらうたた寝していたのでした。


ライブと犬

15日と今夜のライブが無事に終わりました。
手を貸してくれたあだち君、ライブハウスのスタッフの方々、お客さん、本当に有難うございました。

大切に思っている人には、その気持ちがきちんと伝わっていて、これは信じて間違いないんだと思いました。すべては自分から発信していけばいいのかと思った時、今までそう出来なかったことが、なんだか悔しくなったけれど、大切なのは今であって過去ではないから大丈夫なんです。瞬間瞬間で学んでいけばどんどん良くなる。

実は、クリスマスに念願の犬がやってきます!
もう、不安と幸せが入り混じって大変です。まだ名前が決まりません!

いなせ

寒さしのぎに入ったお店で生成りのブラウスを見つけ、そのいなせなスタイルに惹かれて買って帰りました。
明日来て歩くのが楽しみです。
数日前に見たときからまた付け足された歌詞を貰って、音源も同封されていたので急いでスタジオへ走ります。楽しみで仕方がない。いつもそうです。新曲を聴く時は、新しい友人が出来たときのような感覚。初めてのお茶は何時間でも話が続いてしまう。

「うっとりとした家を建てて ぼくは 一編の羽ばたきをベッドの下に隠して」

街の文化祭

少し寝坊した11時、早々に身支度を済ませて自転車に跨り近所の図書館へ。
近くまで来ると人だかりが見えました。道路の真ん中に消防車が止まり、長く延びるクレーンの上には子供と消防士の姿が見えます。
その頃、地上ではキュイ〜ンとおやじロックンロールバンドの演奏が始まりました。
その傍らに次に控えているママさんコーラスの最終リハーサルが繰り広げられ、それを眺めるご主人。そして子供達が声を張り上げ焼き鳥とビールを売るのを眺めているのはご主人の犬です。
久し振りに騒がしくなる街。
こんな騒ぎの場所になぜ自転車で来るのだと怒られるのは当然です。