帰郷

明後日から猫を連れて祖父母に会いに帰ります。お散歩用の紐も準備済みです。実は猫にとっても今回の旅は帰郷になります。彼女が保護されていた動物愛護団体がたまたまぼくの実家から近い場所にあり、そこで彼女に出会いました。檻の中からキラキラした大きな瞳を愛嬌いっぱいに見開いて必死になる仲間たちとは対象的に、手足をだらんと伸ばし、やる気のない、人間が近づいて行ってもフンッと短い溜息をついていた。ぼくは彼女にしか聞こえないひそひそ声で言いました。遥々会いに来てよかった、君と暮らす準備は整っているから一緒に来ないかい?猫は左前足を上下させぼくの中指に触れてきたのでとても嬉しかったのです。